ドレスデンの歴史

『ドレスデン逍遥』
f0236873_2132717.jpgきづくと最後の更新から2ヶ月もたっていて、自分でもびっくりしています。
前回のドイツ話につづいて、こんどはドイツにあるドレスデンという町を紹介するエッセイです。
今度訪れようと計画中なのですが、大きな町ではないようで、詳細なガイドブックが見当たらないところ、手にしてみた1冊です。

歴史的建造物が立ち並ぶイメージですが、実のところこの町は1945年2月13日に大空襲をうけ、町のほとんどが壊滅。現在のこる旧市街の町並みは、戦後に再現されたものです。

本書は大空襲のことから語りはじめます。当時の資料や証言をまじえながら、細かい情景描写とともに、その日何が起こったのか解き明かしていきます。いかに効率よく滅ぼすか徹底的な研究にもとづいた方法で、たやすく実行されてしまった残酷さが、この町の印象として強烈に記憶に残りました。

その後、いまに残る礎を築いたアウグスト強王のこと、強王の長年の寵愛をうけたコーゼル婦人のこと、聖母教会の石で作られたドームが生み出されるまでの物語などが続きます。著者の解釈もふんだんに盛り込まれたエピソードは、人の心のうちに迫まろうとする鋭さがあっておもしろかったです。

ちょっとした歴史を知って、見えないものをのぞき見ながら、ドレスデンの町歩きを楽しめたらいいなと思います。
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# by iftuhsimsim | 2011-06-21 02:36 | 渡り鳥の読書

ドイツの本事情

f0236873_8261989.jpg上野の国際子ども図書館での講演会 「いま、ドイツの子どもの本は?」 に行ってきました。
第一部は、ドイツの児童文学史(酒寄進一先生)。第二部は、先月ドイツで開催された国際ブックフェアの報告もまじえた、出版現場のお話でした(那須田淳先生)。

文学史の話題ではドイツならではのテーマとして「ナチ時代文学」が取りあげられ、そこで一番最初に登場したのが『アンネの日記』でした。スタートがこの本なのは、ドイツにはじめてユダヤ人迫害を意識させ、その後の”戦争の描き方”を変えた作品だからです。西ドイツでは終戦から4年後の1949年に、東ドイツでは15年もたった1960年に出版されました。

年代順に時代背景とあわせていくつかの作品が紹介されたのですが、こうみていくと、ドイツも過去の戦争を受け入れられるようになるまでに、長い年月が必要だったことがよくわかります。

「アンネの日記」は(読者を意識していない)日記なのに「文学」なのか?
なんて質問があって、いままで疑問に思ったこともなかったので、おもしろいなあと思いました。


現在のドイツの出版事情で へえ と思ったのは、ドイツが翻訳天国だということでした。国内最大の文学賞が翻訳ものも対象になっているくらい。その背景として、酒寄さんは、戦後ドイツにうまれた思想もきっと関係しているとおっしゃっていました。
「言葉でわかりあえない限り、本当の理解はない」
翻訳のための費用70%は国が補助し、マイナーな国の本であっても、文化の紹介という目的で出版されていたりするそうです。
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# by iftuhsimsim | 2011-04-24 09:08 | lecture

国語力

f0236873_42111.jpg先週のことですが、フランス映画 『パリ20区、僕たちのクラス』を観ました。

パリ下町の中学校、移民の多いクラスで国語(フランス語)教師が奮闘する物語。母国語も異なるうえに反抗期の子どもたち相手に、ことばを教えるのは大変です。

決して後味すっきりとは言えない作品ですが、さまざまなバックグラウンドを抱える思春期の子どもたちと関わるなかでの「揺れ」がよく描かれています。


教師との言い合いには、本気のときもあれば、ふざけているときもありますが、一番印象に残ったのはこれです。

「口語と文語の違いがわかりません」「ふだんは直感で判断する」「直感がなかったら?」「直感は言葉を使ううちに身につく」「それでも身につかなかったら?」・・・

ことばに対して直観力を働かせるという言い方が新鮮だったのですが、よくよく考えてみると、微妙なニュアンスの違いを感じ取ることとか、実はいつもみんながやっていることなのだと思いました。


あともうひとつ、国語の授業の教材として教師が選んだ本が「アンネの日記」だったことも印象的でした。
最近観た『フリーダム・ライターズ』という実話のアメリカ映画のなかでも同じようなシーンを見かけました。さまざまな人種が集まり、ありとあらゆる問題を抱えた学校で、生徒たちはなぜか「アンネの日記」を読まされたときに素直に受け入れられるのです。

『アンネの日記』については偶然の後日談があって、それはまた次回にでも。
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# by iftuhsimsim | 2011-04-24 07:05 | 映画

あっちこっちそっち

『角野栄子のちいさなどうわたち 1』
f0236873_233348.jpg 図書館で児童書あさり。
なつかしいなぁと手にしたのは、「小さなおばけ アッチ・コッチ・ソッチ」シリーズでした。
小学校の図書室を思い出します。

この本には、それぞれのおばけのお話、3話が収録されています。おばけといっても、だれも怖がってくれないようなおばけたちです。

アッチは食いしん坊で、コッチはおしゃれで、ソッチは歌うのが大好き。

この本のことはずっと忘れていたのですが、大人になったいま再び読んでみると、ところどころで「こんな表現するなんて」と思わせられるような感動があります。

たとえば、食いしん坊アッチが、おいしそうなスパゲッティを作っている女の子をおどかそうとする場面が好きです。
家の中でらんぼうな音を響かせてやると、女の子は「おうちがあくびしてる」、アッチが階段をみしみし動かすと、「かいだんがしゃっくりしてる」と言い出すのです。おばけかぜをとばすと、「天井のねずみが口笛ふいてる」と笑い出してしまったり。

じつは最近、こんなふうになんでも擬人化してみることに興味があったので特にこのシーンが残りました。きっかけは今回の原発事故でしたが、しだいに自分の身の回りのものにまで発展してしまいました。「物」に命をあたえると、突然今までとは同じに見ることができなくなってしまい、その感覚が単純におもしろい。アミニズムや子どもの目線は、こういう感じなのかなと思うところがあったりもします。

話をもどして、この本には他にも好きなところがたくさんあります。
ソッチの「ぞびぞび~」のしゃべり方は、いまも耳についてはなれません。
佐々木洋子さんの挿絵も見飽きない魅力があります。

著者・角野栄子さんが『魔女の宅急便』の作者だったことは、あとから気づきました。
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# by iftuhsimsim | 2011-04-10 20:21 | 児童書

生命の樹

f0236873_17345394.jpg東京青山にある「岡本太郎記念館」にやってきました。今年、生誕100年ということで、メディアや各地の催しが盛り上がっていますね。


開催中の企画展・第一弾は『生命の樹』です。

大阪万博の、あの「太陽の塔」の胎内に、じつはこの『生命の樹』という小宇宙がつまっていたこと、知りませんでした。現在「太陽の塔」の内部は撤去されているので、40年ぶりの再現なのだそうです。


まず思ったのは 小さい! ということ。ミニチュア版での再現だったので。
太郎の作品は、おおらかでダイナミックなものが多いので、細々といろいろくっついている作品がおかれていると異質な感じに見えてしまうのですが、近づいてよくよくみると、壮大でした。


f0236873_183247100.jpgこちらは樹の根元にちかいあたり。

ここには古生物がいて、このずっと上の方に恐竜がいて、さらに少し上に人類がいます。

万博では、この20倍の樹があったのだといいます。想像しようとすればできなくもないけれど、体感するのとしないのは全然ちがう。じかに観たかったなあ。


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「芸術はここちよくあってはならない」などと堅く強く言い放っているだけあって、いかにもという作品が多々ありますが、ときおりみかける愛嬌たっぷりな作品もまた、いい。
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# by iftuhsimsim | 2011-04-10 20:02 | 美術館