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たび

『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』
f0236873_2292888.jpg村上春樹のインタヴューを集めた本です。前回は旅の準備として読んだ本でした。今回の本は、直接ガイドになる類いではないものの、「旅」ということばを思い浮かべずにはいられない本です。

1997〜2009年の間にとりかわされた国内外でのインタヴューが収録されており、対話形式で村上春樹という作家について村上春樹自身が語っています。

作家になったいきさつや、ある一つの作品が生み出されるときのエピソードから、翻訳論、作家論、東西の比較文学論・比較文化論にまで及びます。

興味ひかれたのは、物語の結末を考えて書くのではなく書きながら考えていくのだという、彼の物書きスタイルです。書いているうちに彼自身の内側が変化し、それが物語に影響していきます。「物語の結末がわかっているなら、わざわざ書くに及ばない」「結末はあるけど、解決や結論はない」なんていう言葉が会話のなかにでてきました。

私にとって旅とは、成長するとか何かを得るとか大それたことではなく、ふといつもの景色がちがって見えてくるような体験です。でも大それたことでないと言っても、旅の前と後とでは同じ自分ではいられないくらい特別なものでもあります。村上春樹にとっての「小説を書く」ということは、私が抱いている旅のイメージそのものでした。村上サンはそうやって即興的に小説を書き、それが楽しいと言いますが、小説を旅に置きかえてみると、なるほど、その楽しさの感覚がわかる気がします。
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by iftuhsimsim | 2011-06-29 01:33 | 渡り鳥の読書

ドレスデンの歴史

『ドレスデン逍遥』
f0236873_2132717.jpgきづくと最後の更新から2ヶ月もたっていて、自分でもびっくりしています。
前回のドイツ話につづいて、こんどはドイツにあるドレスデンという町を紹介するエッセイです。
今度訪れようと計画中なのですが、大きな町ではないようで、詳細なガイドブックが見当たらないところ、手にしてみた1冊です。

歴史的建造物が立ち並ぶイメージですが、実のところこの町は1945年2月13日に大空襲をうけ、町のほとんどが壊滅。現在のこる旧市街の町並みは、戦後に再現されたものです。

本書は大空襲のことから語りはじめます。当時の資料や証言をまじえながら、細かい情景描写とともに、その日何が起こったのか解き明かしていきます。いかに効率よく滅ぼすか徹底的な研究にもとづいた方法で、たやすく実行されてしまった残酷さが、この町の印象として強烈に記憶に残りました。

その後、いまに残る礎を築いたアウグスト強王のこと、強王の長年の寵愛をうけたコーゼル婦人のこと、聖母教会の石で作られたドームが生み出されるまでの物語などが続きます。著者の解釈もふんだんに盛り込まれたエピソードは、人の心のうちに迫まろうとする鋭さがあっておもしろかったです。

ちょっとした歴史を知って、見えないものをのぞき見ながら、ドレスデンの町歩きを楽しめたらいいなと思います。
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by iftuhsimsim | 2011-06-21 02:36 | 渡り鳥の読書