カテゴリ:本( 3 )

素朴で壮大な...

『フィレンツェ田舎生活便り 小さな村の春・夏・秋・冬』
f0236873_2133448.jpg年の瀬。渡り鳥読書から逸れますが本の話題です。
とくべつ大掃除をすることもなく、でも少しだけ整理をしながら、新しい年の暮らしに思いを馳せているうち読みたくなった本です。

イタリア・フィレンツェで山暮らしをされているchihoさんのエッセイです。住んでいる村やご家族の紹介にはじまり、chihoさん一家をとりまく日常が綴られています。

家作りや畑作りの話、
毎年やってくるカーニバルやクリスマス、
プーリアでの夏休暇のこと、
村や小学校の様子、GASという食品共同購入のシステムなど社会のこと。

ちょっと散歩に出ればさまざま山の恵みに出会い、なんでも工夫して楽しんだり対処してのける自然のなかでの暮らしは、リンドグレーン原作の映画を思い浮かべてしまいます。

私が気に入っているのは、文房具屋のカティアおばさんのお話。それから家のなかに水の通り道を作ってあげたお話です。

同タイトルのchihoさんのブログをみつけたのはちょうど2年前でした。
仕事から帰ってぐったりな夜、いつも彼女のブログを覗いては心が丸くなってホッとしていたことを思い出します。

暮らしとは、ただあるのではなく、自分で作り上げていくものだということ、
もっというと、ふだんの自分の心の持ち方・考え方がはっきりと生活に反映されることを意識させてくれたのが彼女の文章でした。

日々培ったものが暮らしとなって(形があるのかないのかわかりませんが)現れる。
それは私としてはかなりワクワクすることです。


この本に綴られていない、とびきりなエピソードがまだまだたくさんあります。
フィレンツェ田舎生活便り2
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by iftuhsimsim | 2010-12-30 21:59 |

借り暮らし

『The Borrowers』
f0236873_847231.jpg先日、ジブリの映画「借り暮らしのアリエッティ」を観てきました。こちらがメアリー・ノートン著の原作です。

読んでから映画を観るつもりが、読み終わらず、映画後も読みつづけていました。

あらすじは割愛しますが、映画と原作のいずれもでハッとさせられた場面は、少年が小人のアリエッティに残酷な言葉を言い放つシーン。

希少な生き物に対して、友情関係を築く子ども。
排除しようという目的や好奇心だけで近づく大人。

小人一族の運命を、大人ではなく少年が語ったことで、ぐっと緊張感が増しました。

子どもだって意地悪な気持ちになることはあるし、ときに残酷です。でも少年は善でも悪でもない、真っ白な状態にある感じがしました。これを純粋というのでしょうか。
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by iftuhsimsim | 2010-08-12 08:54 |

琳派

前回の本とは全く関係ないのですが、
週末に琳派展を観にいく予定なので、それでは少し予習でも、、、と探ってみると
美術書関連の本が多いなか、光琳と乾山、この2人の兄弟を描いた小説を見つけました。
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遊興三昧の光琳とひっそり学問に励む乾山、二人の対照的な人物像は広く知られているところですが、その人物描写がこの本のポイントだと思います。
また、「八橋蒔絵螺鈿硯箱」「風神雷神図」「燕子花図」「群鶴図」「紅白梅図」・・・光琳の傑作がいくつも登場し、その創作に関するエピソードも物語の流れのなかで語られます。
あくまでフィクションですが、天才も生身の人間なのだと、ぐっと身近に感じられるところが歴史小説のいいところですね。

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『別冊太陽 琳派百図』には「意匠としての琳派」と題して、水尾比呂志さんと田中一光さんの対談が収録されていました。とくに宗達、光悦、光琳、乾山の4人に焦点をあてて、琳派の特色、歴史的流れが分かりやすく説明されています。
四人を通じて琳派の一番の特徴は、誰にでも受け入れられる要素を持っていながら、通俗でないところ。そしてユーモラスに描こうとしているのではなく、生来ユーモアがあるところ。「はんなり(愉快)」という京の言葉で表現していたのが印象的でした。

琳派が生まれた根底には3つの精神的解放があったと指摘しています。戦乱からの解放、中国の影響をうけた厳格な技法からの解放、そして日本で始めて町民衆が美術の本流を握ったという人間の明るい開放感です。

京都が焼け野原となった応仁の乱後、公家が没落します。復興に尽力し、宮廷文化と町衆文化を融合させた新しい文化を作り上げたのが町衆でした。そうした時代背景のなか登場したのが宗達です。
芸術作品がどのように発生し発展していったかを考えてみると、作者だけではなく、意外と多くの人たちの思いが見えてくることがあります。琳派はとくにそうかもしれません。

この対談を読んで思い浮かべたのは「たくましさ」と「粋」という言葉です。
さて、展覧会が楽しみです。
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by iftuhsimsim | 2010-05-22 00:56 |