<< ヨーロッパへ ドレスデンの歴史 >>

たび

『夢を見るために毎朝僕は目覚めるのです』
f0236873_2292888.jpg村上春樹のインタヴューを集めた本です。前回は旅の準備として読んだ本でした。今回の本は、直接ガイドになる類いではないものの、「旅」ということばを思い浮かべずにはいられない本です。

1997〜2009年の間にとりかわされた国内外でのインタヴューが収録されており、対話形式で村上春樹という作家について村上春樹自身が語っています。

作家になったいきさつや、ある一つの作品が生み出されるときのエピソードから、翻訳論、作家論、東西の比較文学論・比較文化論にまで及びます。

興味ひかれたのは、物語の結末を考えて書くのではなく書きながら考えていくのだという、彼の物書きスタイルです。書いているうちに彼自身の内側が変化し、それが物語に影響していきます。「物語の結末がわかっているなら、わざわざ書くに及ばない」「結末はあるけど、解決や結論はない」なんていう言葉が会話のなかにでてきました。

私にとって旅とは、成長するとか何かを得るとか大それたことではなく、ふといつもの景色がちがって見えてくるような体験です。でも大それたことでないと言っても、旅の前と後とでは同じ自分ではいられないくらい特別なものでもあります。村上春樹にとっての「小説を書く」ということは、私が抱いている旅のイメージそのものでした。村上サンはそうやって即興的に小説を書き、それが楽しいと言いますが、小説を旅に置きかえてみると、なるほど、その楽しさの感覚がわかる気がします。
[PR]
by iftuhsimsim | 2011-06-29 01:33 | 渡り鳥の読書
<< ヨーロッパへ ドレスデンの歴史 >>