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下町、初恋

『浅草ぐらし』
f0236873_15241724.jpg前回につづけて林芙美子の本です。佐野繁次郎氏による装幀です。以前ご紹介した『佐野繁次郎装幀集成』に載っていました。「装幀集成」で気になる本はいくつかありましたが、一番読みたいと思ったのがこの『浅草ぐらし』でした。

なんて洒落た本なのだろう。まず目をひいたのは装幀でした。つぎに私自身が以前、浅草周辺に住んでいたこともあり、林芙美子も同じ界隈に暮らしていたのかと思って興味が湧きました。

そう、私はこの本をエッセイだと思っていたのです。
ほんとうは短編小説でした。

17歳の田鶴は浅草のレヴュー小屋の踊子をしています。小学校以来の友人、千代と暮らしていて、将来のことを考えたり好きな人の話をしたりするシーンはいつの時代にもよくある光景だと思う一方、17歳でこの初々しさは...と驚く場面もあったり。


田鶴は職場で知り合った男性に初めて恋をするのですが、相手が既婚だということは後から知るのです。
大人ではないけれどもう子どもでもない年頃の、はやる気持ちと、たくさんの知らないこと。
言葉にできないもやもやを抱えてつづけてなお相手をまっすぐ想う姿が印象的でした。


f0236873_16391176.jpg左が表紙です。横たわる女性のデッサン画と手書きのフランス語。シンプルでありながら際立っていました(この写真はとてもいまいちですが)。
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ちなみに一番上の写真は中表紙です。

右は裏表紙。これらが1冊の本になったとき・・・
きっとかっこいいに違いない。



(“違いない”というのは、実のところ実物の本を入手できず、マイクロフィルムで読んだのです。いつかこの本に出合えるといいなあ。)
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by iftuhsimsim | 2010-08-11 16:33 | 渡り鳥の読書
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