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歩く人

『下駄で歩いた巴里』
f0236873_1345774.jpg前回の佐野繁次郎さんが装丁をよく手がけられていた作家のひとりに、林芙美子がいました。
林芙美子の名前は知っていたものの、著作はいまだ読んだことがなく、いくつか気になっていた作品を読んでみることにしました。

本書は林芙美子の紀行集です。中国にはじまり、シベリア、パリ、ロンドン。それから北海道、京都、奈良、大阪、東京のことが書かれています。大自然のシベリアは列車、北海道は車でしたが、街は歩き回るのが芙美子流です。歩いてその街特有の匂いを感じとるのです。


表題作のエッセイ『下駄で歩いた巴里』はタイトルがいいなあと思っていて、前々から読みたかった作品です。ただそれだけ。

シベリア経由でパリに到着し、パリでの第一週目のことから始まります。
初めの一週間はめちゃっくちゃに眠ってしまいました。
思いがけずパリの街は眠るのに適した薄暗さだったようですが、本当のところ、眠ったふりをして今後のことを考えていたのだそうです。

そして2週目、めっちゃくちゃに街を歩きます。
歩いている事が、いまの私に一番幸福らしい。
買い物に行くのに、塗下駄でポクポク歩きますので、皆もう私を知っていてくれます。


食料品のこと、映画を観たときのこと、家の様子、街の様子。パリでの暮らしが綴られていますが、一番印象に残るのは、林芙美子の軽やかな足取りと好奇心。そしておそらくポジティブでさっぱりした人なのだろうなと思わせる人柄でした。
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by iftuhsimsim | 2010-08-08 18:03 | 渡り鳥の読書
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