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教えるということ

『My Life in France』
f0236873_131526.jpg前回の本に、アメリカのとある料理番組のことが書かれていました。ジュリア・チャイルドの番組です。彼女の番組の魅力は失敗すること。最初から上手くいく人はいませんよ、と堂々失敗して見せるのです。それに比べて日本の料理番組は絶対に失敗しないか、またはタレントさんを引っ張りだして面白ろおかしく始めてしまう。教える番組ではなく、ただ見せる番組になってしまっているのでは、と心配されての話題でした。

ジュリア・チャイルドといえば、映画 Julie & Julia ですね。まだ観ていないのですが、映画が公開されてから、彼女はなんとなく気になる存在でした。

この本はジュリアの自伝です。おしゃべり好きでエネルギッシュな彼女らしく、かわいた明るさがあります。

34歳で結婚、36歳でフランスに転居、フランス料理に魅了され、37歳になってたまたま参加したコルドン・ブルーの公開授業で天職に出会います。
自分の店を出したい。最初それは漠然とした夢でしたが、学校で講師に習い、家で復習や試作や研究を地道に続けていくうち、夢が予定に変っていきました。ただし「店」はレストランではなく、料理学校となって。

彼女は「教えること」に非常に長けた人で、やがて料理本の執筆にとり憑かれていくのですが、学校にしろ執筆にしろ、どうしたら飽きさせず分かりやすく正確に伝えられるかを考えつづけていました。

アメリカに帰国後、アメリカ人に向けた料理本"Mastering the Art of French Cooking"が刊行するや評判になり、テレビの30分番組の企画が出てきます。この番組はメディアにおいて素人のジュリアがホストにもかかわらず、生放送のようにノンストップで収録されたといいます。起こりうることをそのまま放送した方が、はるかに学ぶことが多いはず。失敗を修復する方法を学ぶのが料理のコツであり、喜びであり、修復できなかったらニッコリ笑えばいい。彼女の番組は調理を楽しむレッスンでもあったのです。

人生、何事も考え方次第。
失敗談や困難な状況もさまざま記されていますが、ジュリアはどんな時も前へ前へと突き進み、結局すべてを楽しんでいるような気がします。

「変化が人生におけるスパイスなら、私の人生にはスパイスが多すぎる。カレーだよ。」
"A Curry of a life"
ジュリアの夫ポールの言葉がいい。
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by iftuhsimsim | 2010-06-19 09:31 | 渡り鳥の読書
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